いつもC&Rの釣りのはずが、つい一匹キープしたくなった、キャンプでの話です。
キープした魚は、速やかに締めるのですが、この時のイワナはやけに生命力が強く、なかなか絶命させるのに手間取りました。
何度も何度も鰓から入れたナイフで傷つけても、手の中で力強くうねり、生きる執念にちょっと身が引きました。
キャンプ地で塩焼きにして食べたのですが、なぜかキープしたことに後悔がのこった一匹でした。
その夜、その魚を締めたナイフがないことに気が付きました。
妙な後悔と、失くしたナイフが気にかかって、夜夢を見ました。
「ここにあるよ」、「取りに来て」と何かがつぶやく夢でした。
翌朝、半信半疑でその釣り場に戻ると、失くしたナイフが、そっとそのままありました。
川の淵で、イワナの処理をした、その場所でした。
ナイフについた砂を洗った川底には、昨日のイワナの鰓が白く沈んでいました。
約束のように、もう一度毛ばりを投げ、小さなイワナを再び釣りました。
「ありがとう」とつぶやいて、流れに戻しました。
失くしたナイフが戻ってきた話です。
#フライフィッシング #キャンプ #ナイフ
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